これからは飲食店も、顧客ニーズに合わせたセグメンテーションを行って、生き残りをかけていく時代になりつつあります。
そこで今回は、他社との差別化をはかるためのセグメンテーションについて解説します。
セグメンテーションとは
他社との差別化をするために利用させるフレームワークに、STP分析というものがあります。
Sはセグメンテーション、Tはターゲッティング、Pはポジショニングの頭文字を表していて、マーケティング論で知られるフィリップ・コトラーが提唱した理論です。
パレートの法則でも解説されているように、多様化している社会において、「万人受けするようなものは、結局誰にも受け入れてもらえない」ということは理解できるのではないでしょうか。
そのために、STP分析を用いて市場を細分化し、ターゲットとなる顧客層を明確にして、競合店と差別化をはかることで自店の立ち位置を確立することが重要となります。
ではさらに詳しく、セグメンテーションについて解説していきます。
市場を細分化すること
セグメンテーションは、細分化という意味の言葉です。
具体的には、同じニーズを持ったグループに分けていくことがセグメンテーションと考えてください。
大企業であっても、全ての顧客ニーズに対応することは難しいものがあります。
そこで、多様化するニーズの中から特定のニーズを限定して、自店の強みを活かして他社と住み分けを行った方が効率よく集客することができるでしょう。
STP分析におけるセグメンテーションの重要性
パレートの法則によると、売り上げの8割は顧客の2割が産み出しているとしています。
そして、売り上げの8割は全商品の2割で産み出しているとも言われているのです。
つまり、8割の部分にコストや労力を費やすよりも、2割の部分を大事にしていくことで、他社との差別化がしやすくなり、顧客の満足度を高めることにもつながるのです。
この2割の部分に該当する市場を特定することが、セグメンテーションの重要な目的となっています。
市場(顧客)ニーズの把握
セグメンテーションをするためには、顧客ニーズを把握することが重要です。
顧客ニーズと言っても、顧客自身が自分の求めているものをはっきりと認識しているとは限りません。
自分では気づいていない、潜在意識の中に隠れたニーズが潜んでいることもあるのです。
そこで、顧客にアンケートを採ってみると、自覚していないニーズを把握することができますが、潜在的なニーズは、過去データの分析も必要となってきます。
大変な作業になりますが、まだ市場にないニーズの獲得ができれば、自店にとって大きな強みになるでしょう。
競合他社との差別化
セグメンテーションをすることによって、競合する他店とは直接的に戦わなくても良い立ち位置にポジションを取ることが可能となります。
例えば、同じ居酒屋であっても、競合店とは違うニーズを持った客層を狙うことで、特定のニーズにおいて優位に立つことができるわけです。
しかし、同じ土俵で顧客を奪い合っていると、価格競争になりやすく資本力勝負になってしまいます。
明確な差別化をすることが生き残るための活路となるでしょう。
セグメンテーションの実例
ここで、セグメンテーションの実例を紹介しましょう。
バーと聞いたらどのようなイメージを持つでしょうか。
一般的には、落ち着いた雰囲気の店内で、ゆっくり時間をかけて楽しむというイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、仕事帰りや、職場の飲み会の帰りに、洋酒を1杯だけ飲みたいなど、ふらっと立ち寄って短時間で帰りたいという人もいます。
そこに着目したのがスタンディグバーです。
バーは落ち着いて飲む所だった常識を覆して、潜在的なニーズに応えた好例と言えるでしょう。
また、秋葉原に代表されるメイド喫茶も良い例でしょう。
特定のコンセプトの制服を身につけていることによって、細分化されたニーズに対応できています。
喫茶店で差別化をしようとすると、ドリンクや料理で対抗しようとしがちですが、それ以外の部分でも、工夫次第で強みを出せることに気づかされるでしょう。
セグメンテーションとターゲティングの違い
セグメンテーションとターゲティングは似てる部分があるため、勘違いをしている人も多いようですが、セグメンテーションは、あくまでもニーズによって分けていく作業となります。
20代女性に絞るというのはセグメンテーションではなく、ターゲティングです。
例えば、ついつい外食が多くなってしまうから、野菜を中心とした食事を心がけたいというニーズがあったとします。
このようなニーズを絞り込むのがセグメンテーションです。
さらに特定のニーズ持ったグループの中から、40代の男性に絞っていくのがターゲティングということになりますので、間違えないようにしましょう。
まとめ
セグメンテーションをすることによって他店との競合を避けることができ、特定のニーズを持った顧客に集中できるようになります。
好みやライフスタイルが多様化する現代では、万人に受け入れられるサービスの提供は難しいでしょう。
しっかりと分析を行って、自店の強みを出していくことが重要です。