次に、ターゲットとする顧客層への自店の立ち位置を決めるポジショニングの作業に入るわけですが、その前に、ターゲティングで攻める方向が分かったらターゲット層へのアプローチ方法を検討します。
ターゲティングの目的は、自店の商品やサービスを必要とする顧客を特定し、効果的にアプローチしていく方法を決定することにあるからです。
そこで、今回はターゲットへのアプローチ方法を考えるときのポイントと、うまくターゲティングができなかったときの対処方法について紹介します。
ターゲットへのアプローチ方法を考える
自店が集客するターゲットが決まったら、次はターゲットにどうやって自店を知ってもらうかを検討します。
ただ、毎日営業しているだけで顧客が獲得できるのであれば誰も苦労はしません。
自店の商品やサービスにあった方法で、効率よくターゲットへアプローチをかけていくためのポイントを見ていきましょう。
顧客層にあったアプローチを考える
飲食店のターゲットとなる顧客層には、どのような属性を持つ人がいるかを考えてみましょう。
- お店近くの学校に通う学生
- 仕事帰りに一杯だけ飲みたい会社員
- 高級住宅街に住む主婦
- おしゃれなランチを楽しみたい女性
自店のおかれている環境によって、さまざまな顧客層が考えられますが、セグメンテーションで市場を分類した結果、ターゲットとして攻める顧客層を決めたのですから、その顧客層にあった方法で、集客を行っていくことが大切です。
例えば、若者と高齢者ではアプローチ方法は変わってきます。
インターネットで飲食店を探す割合は、圧倒的に若者の方が多く、高齢者は口コミやチラシなどの方が身近に感じるでしょう。
また、ターゲティングではターゲットをより細かく設定することで、自店のコンセプトとのブレを最小限にすることができ、ターゲットへ確実にアプローチしていくことができるようになります。
ポジショニングを行う前に、効果的なアプローチ方法の確認はしっかりと行っておきましょう。
新規顧客と既存顧客の拡大を考える
新規の顧客層の獲得は今後の収益を増加させるために必要ですが、重要なのは、獲得した新規の顧客に、繰り返し来店してもらえるようにすることです。
つい新規顧客の獲得ばかりに集中してしまいがちですが、リピート率が上がらなければ、広告などでアプローチした瞬間だけしか売り上げは増えないことになってしまいます。
良い商品やサービスを提供していれば、リピーターも増えるだろうと安易に考えず、もう一度来店したくなる仕組みを作っておくべきでしょう。
もしターゲットが定まらなかったらすること
ターゲティングがうまくいかない場合、ひとつ前の段階であるセグメンテーションがうまくできていないことが原因として考えられます。
例えば、自店が参入した市場規模が小さすぎたり、市場全体に成長性が見られなかったり、あるいは市場そのものを正しく理解していなかったりするために、ターゲットがうまく決まらない場合があります。
ターゲティングによってターゲット層が決まらないと、その先のポジショニングに進むことができず、マーケティング戦略の方針も定まりません。
では、ターゲットが定まらないときの対応はどうすれば良いのでしょうか。
セグメンテーションをし直す
うまくターゲットを絞り込めないときは、顧客目線でのセグメンテーションができていない可能性があります。
好調に売り上げを伸ばしている他店が存在しているのであれば、間違いなくニーズはあるはずです。
何か見落としていることがないか、丁寧に検証してみてください。
また、潜在的なニーズを掘り起こすという方向でセグメンテーションをしてみるのも手段のひとつでしょう。
細かなターゲティングを意識する
セグメンテーションがしっかりできているのにターゲティングがうまくいかないという場合、より細かなターゲティングを意識して設定するようにしてみましょう。
どうしても多くの人に商品を知ってもらいたいという気持ちから、細かなターゲティングを設定しているようで、実はターゲットを絞りきれておらず、大まかな設定だったという場合もあります。
大まかなターゲット設定は、成約率を下げるだけでなく、広告にかかる費用の増加につながります。
自店の商品やサービスの強みをより活かすことができるように、ターゲティングでは細かく設定していくようにしましょう。
別の手法を検討する
何度もセグメンテーションをやり直しても、うまくターゲティングできないケースも考えられます。
残念ながらSTP分析は万能なフレームワークではありませんので、必ずうまくいくとは限らないのです。
STP分析ではかなり細かいところまで見込み客を設定することはできません。
また、顧客のニーズを確認する方法がないことも弱点となります。
特に、潜在的なニーズが本当にあるかを確認することは難しいので、どうしてもターゲティングができないときは、STP分析だけでなく、別の分析手法も一緒に利用すると良いでしょう。
まとめ
ターゲティングができたら、ポジショニングの前にアプローチ方法の確認が必要です。
そもそも効果的なアプローチ方法がなければ、新規顧客を自店呼び込むことはできないからです。
また、STP分析は万能ではなく弱点もあります。
うまくターゲットを定めることができないときは、他の分析方法も取り入れて、市場の分析を行うようにしましょう。